070903 ランダム
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”ぷろぺら”の,「一日は誰にもやっぱり一日」

”ぷろぺら”の,「一日は誰にもやっぱり一日」

鉄ちゃん!

いろんな人たちがやってくる俺の店に、最近時々やってくる高校生がいる。

名前はS君決してめずらしい名前ではないけれどよく聞く名前でもない。

そんな苗字。

そんな名前に、あるなつかしい思い出がある。


昭和42年のこと。当時小学校1年生の俺はSという苗字で

鉄ちゃんと言う同級生と仲がよかった。

鉄ちゃんは同級生の中でもそんなに大きな体ではなかった。

髪型はアニメで流行っていたサスケの髪形によくにていた。

鉄ちゃんはけんかが強かった。

校庭で遊んでいてちょっとしたトラブルがあると

それが、上級生でも、進んで(??)戦いを挑んでいた。

でもけっして弱いものいじめをしない、とても心強い友達だった。

そしてそんな強い鉄ちゃんが自分の友達であることが

とても心強かったし自慢でもあった。



その出来事は、小学校1年生か2年生か忘れたけれど、

授業で自分の名前のいわれについて発表するという時間があった。

鉄ちゃんは指名されるとすくっと立ち上がり

「僕の名前は鉄男です。鉄のように強い男になれとお父さんがつけました」

と大きなはっきりとした声でいった。

さすが鉄ちゃん!!と俺は妙に感心した。



ある日、俺と鉄ちゃんは昼休みに行ったこともない教室に行った

「ここどこ?」と聞くと

「姉ちゃんの教室や」といった。

「なにするん?」と聞くと、

何もまよわずひとつの机に行き机の中からパンを出して食べ始めた。

「いいんかえ?」

「いいんや姉ちゃんのやけん」

鉄ちゃんは食べ終わると「遊びに行こう!」と言った。

そうして二人で教室を出た。

「ちょっとは、パンくれればいいのに・・・・。」と少し思った。



3年生になってクラスが分かれ4年生の終わりとき俺は転校して

もう会うこともなかった。

でも俺の中では鉄ちゃんは頼りになった、よい友達としてそれから

以後ず~っと心の中で変わらずにいるのだった。



それは先月のこと。その高校生のS君が

「おいちゃんゲームを売るのにはどうすればいいの?」と聞くので

「保護者の承諾書がいるから書いてもらってきて」と承諾書を渡した。

数日がたって持ってきた承諾書の保護者の欄を見て驚いた。

あの鉄ちゃんの名前があるではないか!生年月日をみると同級生。

同じ名前はよくある話。そこで

「2つか3つ年上のお姉さんはいる?君から見ればおばちゃんやなぁ・・。」

「いますよ!」

「お父さんは子供のころO町に住んでた?」

「はい!」多分間違いはないと思うあの鉄ちゃんだ!



高校生の彼は時々、8時くらいにお店に来るときがある。

部活の帰りだという。お店の中を見て、少し話をしてお菓子を買って帰る。

その彼がつい先日、雨の日に予約をしていたゲームを取りに来てくれた。

来たときに世間話をした。聞くと毎日片道18KMを自転車で

高校に通っているという。もちろん雨の日もカッパを着て。

もう間違いがないだろう鉄のように強い男!

あの鉄チャンの息子がここにいる。

追 それから数ヶ月がたったある日30数年ぶりに鉄ちゃんと再会しました
  
 聞けば鉄ちゃんも4年生のときに転校したとのことでした。
 
 なによりうれしかったのは自分のことを覚えていてくれたことでした。




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